不登校専門カウンセラーから見た保健室登校のメリット、デメリット

今回は大阪ワイズカウンセリング(梅田・難波)不登校専門カウンセラー石田美咲紀から見た保健室登校の良い部分、そうでない部分やリスクについて書きますね。

目次

保健室登校はどういう場合に行うのか

親の視点からみると、クラスに入れている現状からグレードダウンして保健室登校となるとこれから状態が悪化するのではないか、と心配にもなると思います。

子供の視点から見るとこういう感覚になります。

1.保健室登校は逃げだから行動が恥ずかしくてできないと思い込んでしまう
それによって、我慢してしまい、うつ病や別の精神疾患につながってしまうケースがあります。

2.保健室登校を自分から選択してクラスには入れなくても行けないよりいいと思う
行く・行かないとゼロヒャクにせず、「行かないよりも行くだけでもいい」と考え、登校を継続するよう頑張るケースです。

どちらかといえば、保健室登校がいいと誰にも言えず悩むお子さんは人に頼ることへの抵抗があるため、立ち直るまで長期間掛かる可能性があります。

保健室登校のメリット

最大のメリットは保健室に行くことでクラスに戻るための準備ができることです。

これは職場でいうと自分から部署変えをお願いする、自分の業務を減らしてもらうことを提案すると同じです。

大事な点は自分で自分のキャパシティーを見極めて、学校もしくは職場にいるためにできる行動をとっているところです。

少し落ち着いた環境に移ると、自分が何にしんどかったのか冷静にみれることができます。


どうしようもなく、強いストレスにさらされ続けると人は無力感で無気力になり、うつ病などの心の病気につながります。

悪化してしまう前に、自分ができることを少しずつトライすることができる環境が保健室になります。

学校でいえば、周りが敵に見えていたけど中には優しい人もいることがわかり希望が見えるなどです。

他にも、先生は保健室にいる自分も気にかけてくれて悩みを話してみようと思えたなどの変化が必ず生まれる場所になります。


ストレスが強くかかることで嫌なものではないものが嫌に見えることは誰にでもあると思います。

思春期までのお子さんだと経験値が少ないことでそういうことへの免疫がない場合もあります。

一時的なストレス等の要因の場合、特に不登校状態を避けられたら登校に戻しやすいです。

適切な時期にカウンセリングをすることで保健室登校が意味のあるものに変化することができます。

保健室登校のデメリット

保健室登校が長期化することで八方塞がりになる恐れ

大人で例えると、転職が当たり前になった令和に、転職をしてみての結果は人それぞれです。

つまり、転職をしてより前の職場の方がよくて自分に劣等感が生まれる可能性もあります。

転職をしたのに何も変わらず結局何が原因か不明で混乱する可能性もあります。

責任感が強すぎる、人間関係を作るのが苦手などご自身の苦手な部分や性格が要因の場合、特に起きやすいです。


保健室登校も同じく、保健室登校をすることで普通に通えている他の同級生への劣等感が増大する恐れがあります。

また、保健室登校したのに何も変わらず勉強だけ取り残されていく恐ろしさもあります。

さらに、保健室の先生が休むことに厳しく結局は避難できない場合も多いです。

勉強面への遅れ

特に勉強面においては、集団生徒を組織する先生はカバーしてくれず、自主勉強がほとんどであるのが公立学校の形です。

そのため、もし授業を不安でクラスで受けれないから保健室登校にしたとしても、結局は自分一人で毎日の宿題とテスト範囲を勉強することになります。

自分で勉強できるお子さん、できないお子さんどちらも存在します。

環境が全て変わる上に勉強も通常授業より遅れぎみになるので不登校にとっていいことがあるとは必ずしも言い切れません。

環境が変わることで状況が悪化してしまう可能性は捨てきれないということです。

保健室登校の理想と現実のギャップ

学校によっては保健室登校を積極的に受け入れていない場合があります。

養護教諭が忙しすぎるといった理由で容認しておらず、受け入れてない所も少なくないです。

そのため、現実的に放課後登校で一週間分の授業プリントのみ大量に持ち帰り、先生とも最低限話すのみでテストは別室受験という形が公立中学校及び高校の大半を占めます。

私立は先生が多く採用されている所もあり、校風によっては保健室に余っている先生が勉強のわからない所を聞いてくれる所もありますが、ごく一部の学校のみです。

勉強の負担は個人差があっても生じる危険があります。

自治体によっては土日に勉強を教えてくれるボランティアがある場合もあります。

お住まいの自治体にお問合せ下さい。

保健室登校か迷ったら

勉強が自習になるリスクを抱えても保健室登校すべきという場合は、例えばクラスがお化け屋敷になっている時です。

怖い場所やストレス状態で集中して勉強するのは困難です。

子供にとっては、いじわるな人がいるクラス、または感覚過敏で隣の子の鉛筆の音が気になって集中できない場合などがお化け屋敷と同じぐらいの恐怖感を抱きます。

大人でいえば、上司からハラスメントを受けているときや接客が苦手なのに接客業をし続ける場合が相当します。

勉強に集中できず、ストレスを抱えたまま過ごすことは心身の健康に悪影響を及ぼします。

保健室登校にも通じる不登校からの脱却法

子供が安心した家族を離れて人に信頼を託すには、まずは家族からどんな自分も愛してくれているという自己感覚を基盤に発展します。

基盤があってこそ、自分の仲間になれそうな性格を持つ友達やよりよい環境を自分で理解していく段階に成長していきます。

この成長は身長体重のように勝手に伸びるものではなく、知らず知らずのうちにどの家庭でも基盤ができています。

その基盤が学校などのストレスで壊れてしまい、一からお子さんに沿ったご家庭からの声かけや態度が必要になる時期に戻ります。


そして、保健室登校といったメリットとデメリットを理解した上で学校と親が一致団結して解決されるものです。

会社も同じく、会社への信用が戻った時や自分が今の会社にいる意味、できることを納得できた時に転職せず働き続けられると思います。

保健室登校にしたから自動的に良くなるのではなく、登校することへの抵抗感が減り、登校するほうが良い、マシと納得感が強くなることで改善されていきます。

ワイズカウンセリングではお子さんの特徴を見極めた上で、適切な声かけと効果的な行動を助言できます。

保健室登校をしてよかった体験に結びつける、もしくは保健室登校する前に今の考え方を広げることもできます。

石田 美咲紀(いしだ みさき) カウンセラー・公認心理師

専門:不登校児童、家族のメンタルケア・家族関係修復

学内ケース、学外実習、放課後デイサービスのアルバイト、家庭教師などを経験し、子どもたちの側で、そして、親御さんとも連携し不登校を解決してきました。
育った世代が近いからこそ、お子様と打ち解けてお話をして、最良な方法を提案しますね。

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